IT 効率性の測定に使用できる 5 つの財務指標

これら 5 つの財務指標を用いて、IT サービスの提供、IT 効率性、ビジネスの変革を追跡することにより、IT のビジネス価値を最適化できます。

IT 部門は、ユーティリティ プロバイダーとしての活動、利用部門と連携してイノベーションを推進する活動、この 2 つの役割を同時に担わなければなりません。IT の業務管理に万能なアプローチはありませんが、これら 2 つのロールのバランスを取るのに役立つ主要な財務指標があります。

» デジタル変革を追跡するための 6 つの IT 指標も併せてご覧ください。

この記事では、IT 効率性を測定する 5 つの財務指標について説明します。また、これらの指標を用いた IT の効果的な業務管理方法の推奨事項も提示します。各財務指標の詳細については、エグゼクティブ ブリーフ全文をダウンロードしてください

ユニット コスト vs. ベンチマーク

ユニット コストは、サービスの主要コンポーネントに対するユニットを基準とした直接コストです。一般的なカテゴリには以下が含まれます:

  1. デスクトップ、ラップトップ、モバイル デバイスのクライアント コンピューティング コスト
  2. 通常テラバイト単位で測定され、階層 (例: SAN 層、NAS 層、テープ バックアップ) に分割される、ストレージ コスト
  3. ビジネス顧客向けに確立されたサービス階層やレベルで測定されるコンピューティング コスト

推奨事項:

これらのコンポーネントおよびサブコンポーネントのコストを把握して管理することで、ユニットコストの正確な全体像をつかむことができます。ユニット コストを他業界や自社の利用部門に照らしてベンチマークすることは、詳細な分析と掘り下げを必要とする箇所を特定するのに役立ちます。

» ソリューション: Apptio IT Benchmarking

固定コストと変動コスト比

固定コストと変動コストの比率は戦略に関連したコスト構造を把握するのに役立ちます。多くの会社の IT 予算の 2/3 ほどが固定費で占められると言われます。変動コスト構造への移行は、変化する需要に対応するために必要なアジリティ、柔軟性、拡張性をもたらします。

変動コストを深く理解することにより、変動コスト ダイナミクスの実行も可能になります。この分析では、ビジネスで予想される変化がどのように総コストと予算需要に影響するかに焦点を当てます。

推奨事項:

固定コスト vs. 変動コスト比率を監視し、ビジネス ニーズに一致していることを確認します。比率が低いことが必ずしも良いこととは限りません。スケール メリットを追求する組織では固定コストの比率が高い方が有利とされます。より顕著な組織変更、特に人員削減を経験した利用部門では、一般的に変動コスト比率が高い方が良いでしょう。調整が必要な場合は、調達部門や財務部門と協力して適切な購入契約を検討しましょう。

直接コストと間接コスト比

コストを主にどこに配賦するか? 直接コストと間接コストの比率を判断するには、この質問に対する答えが役立ちます。固定コストと変動コスト比のように、直接コスト vs. 間接コスト比の指標は、システムやプロセスの制限があるためにほとんどの組織にとって追跡が困難です。ただしこの指標は、利用状況の指標とともに、コスト削減可能性がある箇所を迅速に特定できます。特に、利用効率の低いリソースに関連する直接コストを探しましょう。

推奨事項:

直接コスト vs. 間接コストの比率を監視します。この比率を改善するには、テクノロジー、組織変更、共有リソースの採用率改善に向けた、利用部門のインセンティブを求める必要があります。

CapEx 比率

OpEx は即座に損益計算書に計上されます。CapEx は資産として計上され、損益計算書には減価償却費として計上されます。CapEx にはハードウェアとソフトウェアのコストだけでなく、これらの資産の展開と開発の費用も含まれます。

CIO の多くは、CapEx の OpEx に対する比率を高めることを重視します。これは、費用のうちどのくらいがビジネスに対する投資を表すかを示す指標になるからです。しかし、CapEx 対 OpEx 比率よりも重要なのは、資産に対する IT CapEx の比率です。資産更新ニーズに対応するための CapEx 要件として、年間 CapEx 予算を、完全に減価償却済み、または計画期間内に減価償却予定の資産の購入価値と比較する比率を使用します。

たとえば、合計購入価格が 1,000 万ドルの完全減価償却済みのサーバーと、翌会計年度に完全減価償却予定の 200 万ドルのサーバーがあるとすると、サーバー更新のための CapEx 予算は1,200 万ドルが基準になります。

推奨事項:

IT の CapEx 対資産比率に魔法の値はありません。異なるテクノロジーの価格/性能比率が改善されると、多くの組織が (上記で計算したような) CapEx対資産比率の値が不十分であることに気付きます。この指標は資本の妥当性について概算を示すものの、ハードウェア更新の推進策を踏まえ、より慎重な資産更新プランニングと組み合わせる必要があります。キャパシティ プランニングとビジネス プロジェクトは資本要件を追加し、また個別に含む必要があります。

予算対実績値および予算対予測値

予算作成は通常は年に 1 度の作業ですが、予測は少なくとも月に 1 回行うべきです。予測とは、特定期間またはプロジェクトの残期間で予想される支出金額を推計することです。予測金額は通常、予算差異を判定するために実際の支出に追加されます。

推奨事項:

差異予測を把握することは、効果的な IT 管理には欠かせません。差異を早期に特定することで規範的行動を取ることができます。想定外の予算差異が多額になることほど、CIO とビジネスの関係を悪化させるものないと言えるでしょう。

事前に備えておけば、差異を解消する方法も探すことができます。他の分野や他四半期に支出を抑えることで不足を補うことができるかもしれません。一方で、予算余剰を特定して、ビジネス価値の高い重要な他プロジェクトへの投資に回すことができる場合もあります。

こうした 5 つの指標を考慮することは、現在および将来のコストを管理するうえで重要になる、費用対効果を測るために役立ちます。皆様は IT の効率性の測定にどのような財務指標を用いていますか?

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